広島高等裁判所 昭和24年(う)525号 判決 1949年12月05日
被告人
笠井一夫
主文
本件控訴を棄却する。
理由
被告人の控訴の趣意は末尾添附の控訴趣意書記載のとおりである。
所論は要するに原判決の刑の量定の不当を非難するに帰するが刑事訴訟法第三百八十一條の規定に依れば、刑の量定が不当であることを理由として、控訴の申立をした場合には、控訴趣意書に、訴訟記録及び原裁判所において取り調べた証拠に現われている事実であつて刑の量定が不当であることを信ずるに足りるものを援用しなければならない。しかるに被告人の控訴趣意書には、同書面に記載しあるような事実が訴訟記録及び原裁判所において取り調べた証拠のうちどこに現われているのか全然明かにされていないので、右控訴趣意書は同條所定の方式に違反するものといわねばならない。
よつて、刑事訴訟法第三百八十六條第二号に則り本件控訴を棄却することとし、主文のとおり決定する。